閉鎖病棟に入院していた時の話2

3人の医師と1人の看護師が薄暗く狭い部屋に入ってくる。俺はマットレスの上に腰掛けて座っている。1人ずつ、名札を見せながら簡単な自己紹介を始める。眼鏡がないから、俺にはあなた方の顔も名前も見ることができないということをこの人たちは認識しているのだろうか。「いつここから出られるんですか?」「現段階では、なんとも言えません。辛いでしょうが、今は治療に専念してください。」「さっき看護師の方は最低でも1か月はかかる。1か月以内に退院できたという事例はほとんどない。とおっしゃっていたのですが、それは事実でしょうか?」「現段階では、なんとも言えません。辛いでしょうが、今は治療に専念してください。」「僕にはやらなければならないことがたくさんあるんです。なんとか早く退院できないものでしょうか。」「現段階では、なんとも言えません。辛いでしょうが、今は治療に専念してください。」「今は僕の人生にとって大切なタイミングなんです。このタイミングで入院をすることは僕の人生にとって大きな損失なんです。この通り、僕は普段通り冷静に論理的に会話をすることができています。どうにかならないのでしょうか。」「現段階では、なんとも言えません。辛いでしょうが、今は治療に専念してください。」