アメリカン・サイコ 感想文

倫理とかは一旦、横に置いておいてくれ。

 

セックス、ドラッグ、殺人といった逸脱を日常的に繰り返す主人公。短絡的な快楽は一時的には心も身体も満たしてくれるけど、一晩寝て起きたらまたお腹が空いてしまうものです。結局、その場しのぎにしかならないんだよね。折原イザヤも言ってたけど、非日常はすぐ日常に変わってしまう。この映画はその問題に対して答えは出してくれない。

 

主人公は自分のことを感情がない人間だと言うけど、俺にはごく平凡な人間に見えた。あれだけの無茶をしても、結局クソみたいな社会から逃れることはできていない。俺たちは社会から逃れることはできないわけだ。ラスト、主人公は同僚を殺したのかどうかが曖昧になる。最後にわざわざ、そこをボカした意味は、それが重要な話ではないというメッセージだと俺は受け取った。いやいや、そういう話をしたいんじゃないんだよ、と言ってるんだと理解した。

とにかく社会ってのはクソだ。しかし、ちっぽけな俺たちは何をどうやってもそこから逃れることはできない。お前の、その衝動を、ふと瞬間に胃の周りから心臓にかけて発生する正体不明の生理現象を、オナニーで消費してはダメで、もしかしたら科学的な努力の積み重ねでしか「正しく」発散することはできないのではないか。かなりつまらないどうしようもない結論だけど、ある目標に向かってひたむきにやっていくしか、道はないのではないか。そんなことを考えた。ああ人生よ。わはははは。